Category: 道しるべ

「闇」の話 第3弾

「闇」と言っても今回は星だとか、夜の暗さのお話ではない。

「闇」と言えば私の思いの中で何を思い出すかといえば、巨匠開高健さんだ。

巨匠開高健さんの小説に「闇」シリーズ3部作というのがある。

巨匠の代表となる3作品。

いつしか年頃になり、本を読み出した頃に手にした巨匠の1冊から次々と作品を読み漁った。

巨匠を意識しだした頃にはほとんど全て作品群は発表されていて、私も学生運動の真っ只中で、

小田実氏と一緒にベ平連のデモ隊の中央を歩く巨匠を見ていたものだ。

そしてしばらくして巨匠のライフワークである釣りをテーマの旅シリーズが始まる。

その第1作目がブラジル・アマゾン河釣り紀行「オーパ!」である。

実はこの「オーパ!」取材の往復の航空便に同乗して、往復だけの添乗員を勤めたのはこの私。

ブラジル在住の日系人グループの添乗の傍ら巨匠ご一行のお世話の仕事をさせてもらった次第。

私は機内でほとんど一睡もできなかった。

仕事自体ハードでいつも寝る暇がないほど忙しいのだが、この往復は興奮のしっぱなしでなおのこと寝れなかったのだ。

いつも出張のたびに肌身離さず持ち歩いていた巨匠の文庫本2冊を持ちながら、

サインをもらいたさに機内を右往左往、モジモジの繰り返しで、

あまりの眩しさ、神々しさ、偉大さにおののいてとうとう勇気が無くお願いできずにうなだれ、そのままお別れをした。

巨匠は機内ではほとんど寝ていた。

おそらく食事の時とトイレに行く時意外は爆睡状態だった。

そんな状態で、巨匠と直接会話をすることもなく、いつも世話人を介してのご案内で、長い機乗時間もあっと言う間に時は過ぎ、終わってしまった。

時は三ヶ月過ぎ、晩秋のある夜。

会社の先輩と赤坂の裏路地を夜のネオンに照らされながら千鳥足で歩いていると、

向こうから黒い姿の4~5人のご一行がすれ違おうと歩いてくるのが見えた。

目を凝らしてよく見ると、そしてよく耳を欹てる(そばだてる)と、見覚えのあるシルエットと聞き覚えのあるあの甲高い巨匠のお声ではないか。

口から心臓が出そうなまま、すれ違う寸前に先輩の腕を取り、ハッシと道の端に身をかわし、通り過ぎるのを深々と頭を下げて見送った。

後姿をチラと見ながら声をかける勇気はやっぱりなかったと思いながらまたまたうなだれ数歩歩き出してから、

未練たらしく振り返ると、なんと巨匠もこちらを振り向き、

「おぉぉ!ブラジルの・・・」

「はい、先生!お元気ですか!!」

と、私。

(うん、うん、と頷き) 「皆さんに、よろしく言って下さい」 とおしゃってくれたのだ。

巨匠の方から先に、「ブラジルの・・・」とお声をかけてくれたのだ。

名前はもちろん呼んではくれなかったけれど、確かに巨匠の記憶の中のフックに引っかかっていたということだけで充分だった。

うれしかった!

飛び跳ねながら帰った!!

私の心の中の、大切な、まさに「闇」の中で燦然と輝くキラ星のごとく?、の思い出である。

(やっぱり「闇」と「星」の話?)

「闇」の話のつづき。

「闇」の話のつづき。

某年某月某日。

昔の話で恐縮ですが、パンタナールのあるファゼンダ(農場)が売却され、

その館が観光ホテル(と言っても10部屋くらいの宿泊施設)として改造オープンするということで、

今後のパンタナール売込み先乗りとして、日本から40時間かけて一路パンタナールのバランキーニョというところまで行った。

羽田空港(当時は)を出発しニューヨーク経由でサンパウロに入り、ブラジル国内線に乗り替えてクイアバに。

クイアバから車で200kmのカセレスへ。

カセレスからさらにパラグアイ川の支流を約2時間単発モーターボート(5人乗り程度)で下り、やっと宿泊施設へ。

カセレスを出る頃から雨が降り出しボートではカッパに身を包み、雨と水しぶきに全身打たれてヘトヘトだった。

夜早めの食事をして、宵っぱりの現地人を尻目に、瞼のとじるままに寝室へ。

疲れた時の睡眠は短く深く、そして時差ぼけときている。

数時間後何かに取り憑かれたようにガバとベッドの上に起き上がった。

ところがなんと、目をいくらパチクリしても一向に回りが見えない。

真っ暗で、窓の方向も、ドアの方向も光の気配もない。

ちょっとドギマギしながら、手探りで壁を伝い、ドアをそっと開けた。

が、全く暗さが変らず、いくら目をパチクリしても真っ暗のまま。

「あぁ、あんなに長時間飛んできたし、疲れたんだな。こりゃ目が見えなくなったのかも知れない」

(実は自分は目の持病を持っていて、それも原因かもと一人合点した)

「あぁ、なんてこった・・・・・」 「たいへんなことになったなぁ・・・」

また手探りでベッドまで戻って、やおら思い出して、あせってもしょうがないと思い、

ベッドサイドに置いてあったタバコを吸おうと、タバコとマッチ箱を探した。

ちょっと震える手で、タバコをくわえ、マッチを取り出し、側面にシュッとすり合わせると、

おぉぉ!なんと火がついたのが見えるではないか! 目が見えるではないか!

なんだこれは!!ただ暗いというだけか!!!・・・ この暗さはなんだ!

うぁぉ、吸い込むタバコの先が真っ赤に赤々と見えるではないか!

翌日皆にこの話をすると、窓も開いていた、月も出ていたという。

どうしてあんなに暗かったのか。

窓は開いていても庇が長くずっと先まで伸びていて月の光も届かなかったのでは。

ドアを開けても暗かったのは、ここは自家発電で明りを灯していて、22時以降は全館止めてしまうので光がなくなるということだった。

それにしてもあの暗さの強烈さには脱帽した。

漆黒とはこういうことを言うのだろう。

今さらながら、夜の暗さに驚かされた次第。

日本ではもう味わえないあの暗さをぜひブラジルの田舎で・・・。

さぁ、皆様おまたせいたしました。

本日より新コーナー、ブログ「サザンクロス」を始動いたします。

皆様を南米へいざなう“道しるべ”になれば幸いと考えております。

のっけから、暗い話で恐縮ですが・・・・

「サザンクロス」に因み、星空と「闇」のお話。

某年某月某日。ブラジルのとある田舎の小さな街の郊外。

サッカー少年グループに同伴して連日交歓試合を連戦し、この日も夕方遅くホテルへ向かうべく帰路の途中、

大きな河をバスごとフェリーで渡るというので周りが原っぱの船着場で待つことになった。

ところが対岸のフェリーがなかなか来ない。

30人の子供達は、試合で疲れているし、おなかは空くし、待ちくたびれて周りの暗さが増すにつれ、苛立ちが募り出す。

時間が経てば経つほど不穏な雰囲気。

こんな時の添乗員は、小さくため息をつくか、大きく息を吸って天を仰ぐ ・・・・

おぉぉ、なんと言う・・・・

「まだちょっと時間がかかりそうだけど、さぁ、みんなちょっとこっちに集まって!」と大きな声で集合をかける。

「船が来るあいだの少しの時間、皆さんにちょっとしたショーをご覧に入れま~す!

さぁ~疲れたし、みんな原っぱに仰向けに寝っころがって!」

「??」

「うぉぉお~!」

「わぁ~!!」

「ヒィェ~!!!」

「なんだ!これぇ!!」

・・・・・ なんと、見上げた夜空には大天の川が、くっきり、ドバァッ~!と天を横切っているではないか。

そしてその星々のなんと大きいこと。

日本では見たこともない。

学校での本での天の川の存在は知っている。

でも本物の、それもこの規模の現物は見たことがない!

「天の川だよ!」加えて、 「ほらほら、あそこを見てごらん!何かが動いているだろう、何だと思う?」

「・・・・・」

「人工衛星だよ!!」

「えっ!ウッソ~!!」

「ほんと、だよ!!光ってるでしょ、動いてる、でしょ」

「ほんとだぁ~!」

「ウッヘ~!」

・・・・・ 天然パノラマ、大プラネタリューム、イベントショーを見ているうちに、時間はあっという間に・・・。

やがてフェリーが到着し、みんな和気合い合い帰路について、添乗員はホット一息。

ブラジルの田舎に行ったら、夜空を見上げて下さい!

天の川も、そして地平線から45度??

「サザンクロス」(南十字星)がくっきり見えるはずです!

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